そして今日も。 [空に捧げる愛の讃歌] 砂と太陽に愛された王国に、一人の男がおりました。 砂塵舞う水の乏しい国だけど、日の光と人の活気溢れる王国でした。 彼は国境の指揮官で、いつも国の終わりの高い壁の上から、彼方を臨んでいたのです。 あぁ、大地は見渡す限り遠く続いているのに、何故あたしはここへ留まっているのかしら。 あぁ、空は見渡す限りどこまでも広がっているのに、何故あたしはここへ留まっているのかしら。 何処か遠い遠い彼方へ、あたしを知ってる彼方のあなたへ、飛んで行っても良い気がするのだけど。 そうやって、毎日飽きることなく日が暮れるまで太陽に話しかけていたのです。 水と月に愛された帝国に、一人の男がおりました。 晴天に恵まれない国だけど、自然と文化の溢れる帝国でした。 彼は国境の指揮官で、いつも国の終わりの高い壁の中から、彼方を臨んでいたのです。 あぁ、木々は鬱蒼と生い茂っているのだから、おれが迷い込んだら何処か見知らぬ世界へ連れて行ってくれまいか。 あぁ、月は凜と夜空に輝いているのだから、おれを引き寄せて何処か見知らぬ世界へ連れて行ってはくれまいか。 何処か遠い遠い彼方へ、おれを知ってる彼方のあなたへ、吸い寄せられても良い気がするのだけど。 そうやって、毎日飽きることなく日が明けるまで月に語りかけていたのです。 砂と太陽の王国の国境の指揮官は、王国を愛していました。 街は明るく、人々も朗らかで、彼は穏やかな日々を送っていました。 でも、やはり何処か彼方の誰かを求めていたから、彼方の君に届く様に、思いを込めて歌にしました。 素晴らしい毎日と、美しい景色、そして少しの希望を乗せて。 喉が涸れる前に、あたしの歌があなたに届くように。 水と月の帝国の国境の指揮官は、帝国を愛していました。 街は整い、人々も力強くて、彼は健やかな日々を送っていました。 でも、やはり何処か彼方の誰かを求めていたから、彼方の君に届く様に、思いを込めて琴を弾きました。 誇らしい毎日と、厳かな景色、そして少しの期待を乗せて。 知音の者にしか聞かせない琴の音だから、おれの音はあなたに届くだろう。 本当は二人共、いえ、双人とも、彼方の誰かを知っていました。 国を隔てた先に居る、彼方のあなたを知っていました。 自分と同じ顔をした、今は離れ離れになってしまったあなた。 手紙を書くより、絵を描くより、音の方がきっとあなたに伝わるでしょう。 双人は沢山の愛に囲まれて育ちました。 だから双人の音は温かく優しいものでした。 それでもどこか哀しい気分にさせるのです。 言葉には現れないとてもとても大切な願いが、聞く人の心を掴むから。 あなたに会いたい 引き合う絆は今日も空にこだまする。 双つの音は、空が聞いていた。 空と世界が聞いていた。 そして今日も、国の境で音を紡ぐ。 ※※※※※※※※※※※ 仕事しろよ二人とも。 はい、すみません。 突然雰囲気変わってすみません。 つかしまった、こんな書き方したら他のキャラと絡ませられない……! ―戻る―